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消費者庁が、RIZAP株式会社に対し、ステルスマーケティング等を理由として景品表示法に基づき処分を行いました。

更新日:2024.08.28
弁護士
志部淳之介
消費者庁が、RIZAP株式会社に対し、ステルスマーケティング等を理由として景品表示法に基づき処分を行いました。
令和6年8月8日、消費者庁が、RIZAP株式会社に対し、同社が運営する「chocoZAP」という店舗の表示が、優良誤認表示(同法第5条第1号)、ステルスマーケティング告示(同条第3号)に当たるとして措置命令を行いました。
ステルスマーケティングを理由とする行政処分としては、我が国で2例目となります。
※ステルスマーケティングとは、広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すことを指します。
1、優良誤認表示
優良誤認表示とされたのは、インスタグラム上に、「実際には1日24時間のうち、いつでも、好きな時に利用できる」等と表示しながら、実際は異なっていたという点です。
2、ステルスマーケティング
ステルスマーケティングについて景表法違反とされたのは、自社ウェブサイト内に、第三者に対価を提供することを条件に投稿した次のような表示です。
RIZAPが第三者に依頼した投稿であることを明示せずに、掲載したことが問題となりました。
「「気になっていた『chocoZAP』ついに入会しちゃった」、「なんと完全個室のセルフ脱毛が使い放題!!←これにかなり惹かれた感ある」、「しかも服装自由・シューズの履き替え不要で来たままの服装でメチャクチャ気軽に通える!」
対価は、インフルエンサーにより異なり、1万円の場合や月額3278円(税込)の会費を一定期間無料としていたケースが確認されています。
3、留意点
今回のケースで注目すべきは、自社ウェブサイトの投稿の紹介がステルスマーケティングに当たるとされた点です。
自社ウェブサイト上であっても、専門家や一般消費者らに依頼して特定の内容を表示させた場合に、それがさも客観的な意見とみえるように表示してしまうとステルスマーケティングに当たるということです。
ステルスマーケティングに当たるかどうかは、ウェブサイト全体から、一般消費者にとって、それが事業者の表示であることが明らかかどうかで判断されます。
4、対応策
事業者側からすると、一般消費者に誤解を与えないよう、それが広告であること、それが事業者の表示であることを明示しておく必要があります。
消費者庁のガイドラインによると、事業者が第三者に対価を支払って(対価には、クーポンやサービス、イベント参加の権利等も含まれます)依頼をする場合は、基本的にステルスマーケティングに当たると考えられます。
その場合、事業者としては、「広告」、「宣伝」、「プロモーション」、「PR」といった文言の表示や「A社から商品の提供を受けて投稿しています」等の表示を行うことが推奨されます。