弁護士 中川 雄矢
法律の成立
令和6年6月19日、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律(以下「スマホ促進法」といいます。)が公布されました。これは、日本国内でスマートフォンが国民生活や経済活動の基盤として急速に普及していることを踏まえて、一定のソフトウェアを提供する事業者に対して、事業者自身の立場を利用して競争上優位に立つこと及びそれらのソフトウェアを利用する事業者の事業活動に不利益を及ぼすことの禁止等について定めることによって、それらのソフトウェアに係る公正かつ自由な競争の促進を図ることを目的としています。
スマホ促進法のポイント
1 特定ソフトウェア事業者の指定と義務
・指定事業者
モバイルOS、アプリストア、ブラウザ、検索エンジン等)を提供する事業者が指定されます。
禁止行為の例
指定事業者は、自社の特定ソフトウェアを競合他社のものよりも優遇したり、他の特定ソフトウェアを利用する事業者に不利益を与える行為を禁止されます。例えば、特定のアプリストアを排他的に利用する契約を締結することが禁止されます。
2 違反に対する措置
調査
公正取引委員会が違反の疑いのある場合に調査を行います。
排除措置命令
違反が確認された場合、排除措置命令が出されることがあります。命令の一例として、不公正な契約を解除させられることがあります。
3 差止請求や損害賠償請求
差止請求
違反行為を止めるための差止請求が認められています。
損害賠償請求
違反行為によって損害を受けた事業者が損害賠償請求をすることができます。
4 具体例
特定のアプリストアが、一部のアプリ開発者に対して排他的な契約を締結し、他のアプリストアへの参入を妨げている場合、排除措置命令が出される可能性があります。また、特定モバイル
OSが、他のモバイル上OS上で動作するアプリを不当に制限している場合、差止請求や損害賠償請求の対象となります。
OSが、他のモバイル上OS上で動作するアプリを不当に制限している場合、差止請求や損害賠償請求の対象となります。